UPSの基礎知識
UPSは「Uninterruptible Power Systems」の略で、例えば金融機関のオンラインシステムやインターネットデータセンターのような大規模なシステムや設備から、サーバやパソコンなどのコンピュータ機器およびネットワーク機器まで、さまざまな規模における重要なシステムを、停電や電源トラブル(障害)から守る電源システムです。
一般的に、整流器やインバータと呼ぶ電力変換部(電気回路)と蓄電部(主にバッテリ)の組み合わせで構成され、停電や瞬低が発生した際に蓄電池に蓄えられた電力により安定した電力を供給し続けるとともに、電力変換装置の機能によって電源トラブルが機器に与える影響を防ぐ働きをします。
特に電力の安定化能力を持つ中規模以上のUPSは、負荷装置に対して「定電圧・定周波数」の供給を実現することが使命のひとつであるため、CVCF(Constant Voltage & Constant Frequency)と呼んで装置を表現することもあります。
UPSの必要性
日本の電力事情は諸外国と比較して非常に安定しており、人が感じる現象が現れるレベルの停電や電圧異常は、ほとんど無くなっています。
しかしながら、電力送電経路への落雷や積雪などの自然災害、または大規模工場(ビル)の点検や工事に伴う電源切替によって発生する電圧変動や停電などは、電力供給・送電側の状態に関わらず発生するため、需要家側あるいは負荷装置側で適切な対策をすることが必要になってきます。
特に、コンピュータやネットワークを活用した情報処理により事業の運用や管理を行っている場合、システムの停止もしくは誤動作が発生すると、その影響はシステムで稼動している業務に直接現れるため、電源トラブル対策がシステムの稼働を安定させるために効果的な要素になっています。当然ながら規模の大きなシステムほど、復旧などの予期せぬ手間や時間による影響は計り知れないものとなります。
UPSは機器または設備を電源トラブルから守り、そのシステムで稼動する業務やサービスが安定して社会に提供されるために欠くことのできないものとしてあらゆるフィールドで活躍しています。
一方で、データセンターなどにおいては膨大な電力消費が課題となっており、コンピュータ機器などの運用装置だけではなく、電力の変換に常時関わっているUPSも省エネを助けるために重要な要素になっています。UPSは電力を変換していざというときのトラブルに対応する能力だけではなく、できる限り効率のよい運転をすることが社会的に望まれるようになってきています。
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